牛門隠士著『近世偉人百話』から
カテゴリ : 資料・同時代が見た頭山満
牛門隠士著『近世偉人百話』
奥付:著者中川克一、発兌至誠堂書店(東京市日本橋区本石町三丁目)、明治四十二年十一月三日発行。
兼善の機智頭山満を屈す
兼善(注 立木兼善)の福岡県令たるや、乱余の後を受け、玄洋社の壮士等頗る跋扈を極む、新県令の来るを聞き、壮士十数人県庁に来り面会を請ふ、兼善之を階上に延(ひ)き之と対話す、壮士等乱暴狼藉至らざるなし、兼善以て意となさず、時に頭山満年二十前後、亦た其の群にあり、兼善の度胸を試みんと欲し、窃(ひそか)に背後に廻り、両手を以て其の耳朶(みみたぶ)を捉(つか)む、兼善驚かず、悠然として顧み、低声告げて曰く、公の背後には 天皇(てんおう)の御写真を奉置す、誤つて不敬を侵す勿れと、頭山暴と雖も、勤王の志深く 天皇の二字を聞くや、百雷の頭上に震ふが如く、覚へず悚然(しょうぜん)として去る、後ち頭山人に語りて曰く、我れ未だ曾て鎮静物に驚かず、一言(いちげん)人を折服(せっぷく)する立木の如きものを見ずと、これより玄洋社頗る兼善を敬す。
奥付:著者中川克一、発兌至誠堂書店(東京市日本橋区本石町三丁目)、明治四十二年十一月三日発行。
兼善の機智頭山満を屈す
兼善(注 立木兼善)の福岡県令たるや、乱余の後を受け、玄洋社の壮士等頗る跋扈を極む、新県令の来るを聞き、壮士十数人県庁に来り面会を請ふ、兼善之を階上に延(ひ)き之と対話す、壮士等乱暴狼藉至らざるなし、兼善以て意となさず、時に頭山満年二十前後、亦た其の群にあり、兼善の度胸を試みんと欲し、窃(ひそか)に背後に廻り、両手を以て其の耳朶(みみたぶ)を捉(つか)む、兼善驚かず、悠然として顧み、低声告げて曰く、公の背後には 天皇(てんおう)の御写真を奉置す、誤つて不敬を侵す勿れと、頭山暴と雖も、勤王の志深く 天皇の二字を聞くや、百雷の頭上に震ふが如く、覚へず悚然(しょうぜん)として去る、後ち頭山人に語りて曰く、我れ未だ曾て鎮静物に驚かず、一言(いちげん)人を折服(せっぷく)する立木の如きものを見ずと、これより玄洋社頗る兼善を敬す。
