2006
18
Apr |
二冊の本が手元にある。
このひと月ほど前に文庫本になった野地秩嘉著「キャンティ物語」のページをめくって何度も読み返している。著者の野地さんが取材のため足を運んだビルの1Fを事務所にしていた関係もあって何度かお会いしたことがあるのだ。
「キャンティ」は川添浩史、梶子夫妻がつくった今や伝説となったイタリアンレストラン。1960年に開店したこの店にはきら星のように才能が集まり、上質なトウキョウ・スノッブのサロンとして機能した。この川添浩史さんの長男が川添象郎さんで、かつてユーミンやYMOをプロデュースした辣腕の音楽プロデューサである。一般的には風吹ジュンさんの元夫という方が通りがよいかもしれない。凄い才能を持ったプロデューサであったことは間違いないのだが、バブル崩壊とともに転落する。
そのとき彼の傍にいた女性が林真理子著「アッコちゃんの時代」の主人公だ。十代で地上げの帝王といわれた人物の愛人となり、六本木で「魔性の女」と名を馳せ、川添さんと結婚するのだが……。
今、「アッコちゃんの時代」をパラパラと拾い読みをしているところ。林真理子があの時代をちゃんと書ききっているかどうかに関心があったのだが……。結論から言えば、失敗していると断言できる。
特に後半は薄っぺらい。川添さんという稀有な存在をもっと深く描かなければ、アッコちゃんというブラックホールのような不思議な存在に肉薄できないはずだ。あの時代、あの街で繰り広げられた狂騒の中で川添さんは没落する高貴さを体現していた人なのだ。その運命(さだめ)を自覚していたし、またそれに耐えられない弱さもあわせ持っていた。しかし、狂った時代とその先に見える世界に関しては透徹した見識を持っていたと思う。これはその「現場」に居合わせたぼくの感想である。
東西冷戦の終結、ソ連解体など二十一世紀目前の大きな時代の変革の時代、日本はバブル崩壊の時代へ突き進もうとしていた。「これから十年間、新しいパラダイムをどうするのかという大切な時代だよ」と言いながら書架から取り出したのが、仲小路彰著「未来学原論」という古びた書籍だった。
※この稿は書きかけ、思い出したことをそのうち追加予定。

△1990年3月、汐留、サントリービアレストラン「ジアス」のオープニングパーティにて撮影
■追記:
川添象郎さんの父君は「キャンティ物語」の主人公、川添浩史さんなのだが、その父君が後藤猛太郎という人で、この人は幕末維新で活躍した明治の元勲、後藤象二郎の嫡男である。
川添浩史さんが、なぜ後藤姓でないのかというと妾腹の子として生まれ、その後岩崎家とも関係のある川添家の養子に入ったから。
さて、川添浩史さんのことは「キャンティ物語」で語り尽くされているが、この後藤猛太郎という人のことを扱った評伝は星新一「明治の人物誌」以外に本格的なものはまだないようだ。しかし、人物としてはこの人の方が断然面白い。何しろ破天荒を絵に描いて、熨斗をつけたような人生なのだ。下記はネットで見つけた探検家としてのエピソード。
▽南洋の酋長を拉致した後藤猛太郎
この後藤猛太郎の尻拭いをした親友が杉山茂丸で、その息子が夢野久作。
このひと月ほど前に文庫本になった野地秩嘉著「キャンティ物語」のページをめくって何度も読み返している。著者の野地さんが取材のため足を運んだビルの1Fを事務所にしていた関係もあって何度かお会いしたことがあるのだ。
「キャンティ」は川添浩史、梶子夫妻がつくった今や伝説となったイタリアンレストラン。1960年に開店したこの店にはきら星のように才能が集まり、上質なトウキョウ・スノッブのサロンとして機能した。この川添浩史さんの長男が川添象郎さんで、かつてユーミンやYMOをプロデュースした辣腕の音楽プロデューサである。一般的には風吹ジュンさんの元夫という方が通りがよいかもしれない。凄い才能を持ったプロデューサであったことは間違いないのだが、バブル崩壊とともに転落する。
そのとき彼の傍にいた女性が林真理子著「アッコちゃんの時代」の主人公だ。十代で地上げの帝王といわれた人物の愛人となり、六本木で「魔性の女」と名を馳せ、川添さんと結婚するのだが……。
今、「アッコちゃんの時代」をパラパラと拾い読みをしているところ。林真理子があの時代をちゃんと書ききっているかどうかに関心があったのだが……。結論から言えば、失敗していると断言できる。
特に後半は薄っぺらい。川添さんという稀有な存在をもっと深く描かなければ、アッコちゃんというブラックホールのような不思議な存在に肉薄できないはずだ。あの時代、あの街で繰り広げられた狂騒の中で川添さんは没落する高貴さを体現していた人なのだ。その運命(さだめ)を自覚していたし、またそれに耐えられない弱さもあわせ持っていた。しかし、狂った時代とその先に見える世界に関しては透徹した見識を持っていたと思う。これはその「現場」に居合わせたぼくの感想である。
東西冷戦の終結、ソ連解体など二十一世紀目前の大きな時代の変革の時代、日本はバブル崩壊の時代へ突き進もうとしていた。「これから十年間、新しいパラダイムをどうするのかという大切な時代だよ」と言いながら書架から取り出したのが、仲小路彰著「未来学原論」という古びた書籍だった。
※この稿は書きかけ、思い出したことをそのうち追加予定。

△1990年3月、汐留、サントリービアレストラン「ジアス」のオープニングパーティにて撮影
■追記:
川添象郎さんの父君は「キャンティ物語」の主人公、川添浩史さんなのだが、その父君が後藤猛太郎という人で、この人は幕末維新で活躍した明治の元勲、後藤象二郎の嫡男である。
川添浩史さんが、なぜ後藤姓でないのかというと妾腹の子として生まれ、その後岩崎家とも関係のある川添家の養子に入ったから。
さて、川添浩史さんのことは「キャンティ物語」で語り尽くされているが、この後藤猛太郎という人のことを扱った評伝は星新一「明治の人物誌」以外に本格的なものはまだないようだ。しかし、人物としてはこの人の方が断然面白い。何しろ破天荒を絵に描いて、熨斗をつけたような人生なのだ。下記はネットで見つけた探検家としてのエピソード。
▽南洋の酋長を拉致した後藤猛太郎
この後藤猛太郎の尻拭いをした親友が杉山茂丸で、その息子が夢野久作。
day:12
week:145
total:44805(since 09/may/2005 15:00)
Comments
アッコちゃんはもちろん美人で、そのことを自覚し、なお且つ自分が美しいということは天からの贈り物と考えていた。美しい存在として、世界が自分を祝福して当然である、という自信を持っていた。
そういうとなにか気取った、高慢な印象ですが、実際は全くそうではなく、基本的には受身だし、控えめなんですよ。
周りの男が勝手に好きになって、お金やモノを貢ぐのをニコニコして受けとる。彼女は鏡のような存在で、男たちがそこに自分の虚栄心や支配欲のようなものを投影していくのですが、アッコちゃんはそれをどんどん吸い込んでいって、ケロっとしている。底なし沼、ブラックホールのようなものだから、男たちは破滅していきます。
そういうとなにか気取った、高慢な印象ですが、実際は全くそうではなく、基本的には受身だし、控えめなんですよ。
周りの男が勝手に好きになって、お金やモノを貢ぐのをニコニコして受けとる。彼女は鏡のような存在で、男たちがそこに自分の虚栄心や支配欲のようなものを投影していくのですが、アッコちゃんはそれをどんどん吸い込んでいって、ケロっとしている。底なし沼、ブラックホールのようなものだから、男たちは破滅していきます。
on 04/20/06 at 13:16:PM
写真アップおおきに。
たいへん多くの情報を得ることができました。
不思議なのは、会ったことがあるはずもないのに既視感があったことです(特にSHOさんの方)。
たいへん多くの情報を得ることができました。
不思議なのは、会ったことがあるはずもないのに既視感があったことです(特にSHOさんの方)。
on 04/22/06 at 20:46:PM
今日、天神へ出たので丸善に寄ったら「団塊パンチ」が新刊のコーナーに並んでいた。さっそくパラパラめくって、川添象郎さんの自伝を探すと懐かしい顔が。もっと老け込んでいるかと思っていたのですが、とてもお元気そうです。
この十年はいろいろ大変だったが、まだ目には光があるし、こうして自伝を執筆する力もあるので、このままでは終わらないような気がします。
その場で購入したかったのですが、マチの個性派書店BOOKS KUBRICKで数日前に注文してるので、しばらくお預け。
▽「団塊パンチ」創刊記念シンポジウム
……五月十九日午後六時半、東京・東京堂書店神田本店。団塊世代向け雑誌創刊記念。征木高司、北沢夏音、赤田祐一各氏が「未来は後方にあり『団塊パンチ』の60年代考現学」のテーマで語りあう。入場料五百円。要予約。問い合わせはTEL03・3291・5181。
この十年はいろいろ大変だったが、まだ目には光があるし、こうして自伝を執筆する力もあるので、このままでは終わらないような気がします。
その場で購入したかったのですが、マチの個性派書店BOOKS KUBRICKで数日前に注文してるので、しばらくお預け。
▽「団塊パンチ」創刊記念シンポジウム
……五月十九日午後六時半、東京・東京堂書店神田本店。団塊世代向け雑誌創刊記念。征木高司、北沢夏音、赤田祐一各氏が「未来は後方にあり『団塊パンチ』の60年代考現学」のテーマで語りあう。入場料五百円。要予約。問い合わせはTEL03・3291・5181。
on 04/28/06 at 17:35:PM
あおり
お初でございます。「アッコちゃんの時代」そして「キャンティ物語」を読みました。
当時のことは子どもで、田舎モノで知るよしもありませんが。
とても興味深い。
みな、選ばれた自信のようなものを持っている。
林真理子さんの小説では物足りないと感じられた部分。
ぜひ、お書きいただきたいですね。
自分が美しいということは天からの贈り物、と思える日はなかったし。もうないだろうなあ。
『団塊パンチ』購入してみます!
お邪魔しました。
on 05/10/06 at 01:31:AM
あおりさん
>林真理子さんの小説では物足りないと感じられた部分。
>ぜひ、お書きいただきたいですね。
面白いエピソードはいろいろあるのですが……、記憶を辿るだけじゃなく、もう一度取材しないと書けないでしょうね。
そろそろ当時のことも時効でしょうから、書いても問題ないかなとは思うのですが……。
川添さんにはもう一度お会いしたい。
あの人が今をどうみているか、これから何をするのか、興味があります。
>林真理子さんの小説では物足りないと感じられた部分。
>ぜひ、お書きいただきたいですね。
面白いエピソードはいろいろあるのですが……、記憶を辿るだけじゃなく、もう一度取材しないと書けないでしょうね。
そろそろ当時のことも時効でしょうから、書いても問題ないかなとは思うのですが……。
川添さんにはもう一度お会いしたい。
あの人が今をどうみているか、これから何をするのか、興味があります。
on 05/11/06 at 15:24:PM
始めましてMAOさん、コメント、情報確かに面白いですね。確かに川添さんは才能が有る方と思います。今日偶然にTV東京で、懐かしい歌が、かつみだ!ぁ~おじさん一歩手前だぁーなんて自分を棚に置き、懐かしいなぁ・・・当時の事が思い出され良くキャンティーも行きました。待ち合わせはパブカーディナルから始まる生活で、もち、ムシュ、一徳、裕也、諸々な人達の集まる処でもありました。
これは時効と思って良いですね、ある日その店にアクセサリーを置いてる通称ザッパが「さっきタンタンが自殺したよ」って・・・誰1人もその事実を知らないのにと思い そしたら六本木の女王・・・風邪で亡くなると週刊誌に 第一発見者は猫の百代とお手伝いさん・・・1番悲しんだ男はかつみだ、1週間も食事が喉を通らないと、泣きはらした顔で・・私は黙っていつものようにコーヒーを入れ、まさかタンタンが亡くなったの?なんて聞けない、付き合っていたのは知っていた、女のプライドがあった・・・かつみの部屋は当時キャンティーの真裏で嫌だった スペイン村(通称)に住んでいた。まっ今日はこの辺で・・・しかしスペインに残して来た梶子さんの娘さんが気になります。ちなみにザッパは、すぐにNYにスポンサーと一緒に旅立ちましたとさ、終わり。
08/1/4
これは時効と思って良いですね、ある日その店にアクセサリーを置いてる通称ザッパが「さっきタンタンが自殺したよ」って・・・誰1人もその事実を知らないのにと思い そしたら六本木の女王・・・風邪で亡くなると週刊誌に 第一発見者は猫の百代とお手伝いさん・・・1番悲しんだ男はかつみだ、1週間も食事が喉を通らないと、泣きはらした顔で・・私は黙っていつものようにコーヒーを入れ、まさかタンタンが亡くなったの?なんて聞けない、付き合っていたのは知っていた、女のプライドがあった・・・かつみの部屋は当時キャンティーの真裏で嫌だった スペイン村(通称)に住んでいた。まっ今日はこの辺で・・・しかしスペインに残して来た梶子さんの娘さんが気になります。ちなみにザッパは、すぐにNYにスポンサーと一緒に旅立ちましたとさ、終わり。
08/1/4
on 01/04/07 at 18:40:PM






